デザイン・イラストの著作権


ファーストデザインでクリエイターがクライアントに提案したり、納品したりするデザインやイラスト、漫画、書、コンピュータープログラムなどは、全て「著作物」です。著作物を売買する際には、「著作権」についての契約をすることで、お互いに利用方法が明確になり、トラブルを防ぐことができます。
ファーストデザインでは、全ての案件について著作権に関する契約を締結していただくことで、クリエイター、クライアントの双方が著作物を正しく利用する事ができます。

この記事では、デザインやイラストの著作権についての基本的な知識をご紹介します。少し長くなりますが、デザインやイラストを有効活用するために重要な知識ですので、ぜひ最後までお読みください。

  1. 著作権とは
  2. 著作権に関する契約の必要性とファーストデザインにおける著作権契約
  3. 著作権の譲渡と著作者人格権
  4. 著作物の利用許諾
  5. ケーススタディ ~こんなときどうする~

1.著作権とは

「著作権」とは、デザインやイラスト、漫画、映像、書、写真、文章、コンピュータープログラムなどの「著作物」の利用についてコントロールするための権利です。
著作権は、人や法人(「著作者」といいます)が著作物を創作した際に、特に登録などをしなくても著作者に与えられます。

著作権には、財産権としての「著作権」と、「著作者人格権」があります。

著作権

著作者の権利

【著作権】
財産権としての著作権は、著作物(デザインやイラストなど)を下記のように利用することに関する権利です。

  • 印刷する
  • WEBサイトに使用する
  • 人にあげたり売ったりする
  • 展示したり放送したりする
  • アニメーション化する
  • ・・・など

著作物を上記のような利用をする人は、著作権を保有する人(「著作権者」といいます)に許可(「利用許諾」)を得る必要があります。
著作権は、著作物(例:イラスト)を創作した時点では、著作者(例:イラストレーター)に帰属しますが、「著作権譲渡契約」を締結することによって、第三者(例:クライアント)に譲渡することができます。

【著作者人格権】
著作者人格権は、著作物が勝手に改変されたり、知らないところで出回ったりして、著作者が嫌な思いをしたり、不利益を被ることを防ぐために、著作者が下記の権利を持つとしたものです。

  • 著作物を、著作者の意思に沿って公表するよう決定する権利(公表権)
    (例:納品したイラストを印刷物に限って使用する)
  • 著作物が公表される際に、著作者の意思に沿った氏名を表示するよう決定する権利(氏名表示権)
    (例:納品したイラストを印刷する際、イラストの付近に必ずペンネームを明瞭に表示する)
  • 著作物を、著作者の意思に反して改変しない
    (例:納品したイラストに描き足したり、一部を消したり、色や縦横比を変えない)

著作者人格権は、財産権としての著作権とは異なり、譲渡はできず、著作者が生涯保有します。

2.著作権に関する契約の必要性とファーストデザインにおける著作権契約

デザインやイラストの取引においては、委託者(クライアント)が金銭を支払って受託者(クリエイター)にデザインやイラスト(著作物)の制作を依頼します。
この場合の著作者はあくまでクリエイターであり、制作した時点では著作権はクリエイターに帰属しますので、クライアントはクリエイターに無断で著作物を印刷したり、WEBページに使用したりする(利用する)ことができません。
そのため、クライアントが著作物を利用する際には、クライアントとクリエイターの間で著作物に関する契約をする必要があります。

クライアントがクリエイターに制作を依頼した著作物を利用するには、クリエイターから著作権の譲渡を受ける契約をする場合(著作権譲渡契約)と、クリエイターが著作権を留保してクライアントに一定の範囲内での利用を許可する場合(著作物利用許諾契約)があります。

どちらの契約を選ぶことがクライアント/クリエイターの双方にとっていいのかは、依頼する著作物の性質や利用方法、お互いの考え方によって異なりますので、以下の記事を参考に、話し合いの上、決定しましょう。

ファーストデザインでは、いずれかの契約が全ての案件で必ず締結される仕組みになっています。
プロジェクトルームでクリエイターが提示する見積りには、著作権を譲渡するか、クリエイターに帰属するかが明記してあり、これをクライアントが承認することで、著作権譲渡契約か著作物利用許諾契約のいずれかが締結されます。
また、著作権譲渡契約の場合には、著作者人格権の不行使を含めるか否かを設定し、著作物利用許諾契約の場合には、利用の期間と範囲の設定をします。

プロジェクトルームでのやり取りは、第三者が確認できる記録として残りますので、契約行為としてみなされます。企業・団体などの規定で契約書を作成する必要がある場合は、別途作成して契約を締結することもできます。

いずれの契約をする場合でも、個々の内容について別途取り決めをしたい場合があります。例えば、著作権を譲渡する場合で、クリエイターが納品したいイラストを自分のホームページに掲載したい場合などがそれにあたります。
このような場合でも、プロジェクトルームのメッセージのやり取りで双方が合意することで、契約として効力を発揮します。

3.著作権の譲渡と著作者人格権

デザインやイラストの取引で、クリエイターがクライアントに納品した著作物の著作権を譲渡した場合(著作権譲渡契約を締結した場合)、クライアントおよびクリエイターは以下のように著作物が利用できます。
(個別の権利について別途契約を結ぶ場合はこの限りではありません。)

【クライアント】
できること

  • 印刷やWEBサイトでの利用や、販売、譲渡、翻案などが自由にできる
    (例:チラシを好きなだけ印刷して配布する、キャラクターを自由にアニメーション化したり商品化したりする)
  • 第三者に著作物の利用を許可できる
    (例:イラストを素材集として販売する)

できないこと

  • クリエイターの意思に反する公表や改変をすること
    ※著作者人格権の不行使を規定した場合はこの限りではありません。
    (例:クリエイターがイラストの付近に必ずペンネームを明瞭に表示するよう求めたにも関わらず、無記名で製品パッケージに使用する)

【クリエイター】
できること

  • クライアントに許可を得た範囲内で印刷やWEBサイトでの使用、展示などをする
    (例:クライアントに許可を得た上で、納品したイラストを自分のホームページに掲載する)

できないこと

  • クライアントに許可を得ずに第三者(他のクライアントなど)にその著作物を提案したり納品したりする
    ※構図や色などの一部を変更して納品することも含まれます
    (例:A社に著作権を譲渡したイラストを、B社から依頼されたチラシの一部に使用する)
  • クライアントに許可を得ずにその著作物を自分のWEBサイトに掲載したり、展覧会に出品したりする

このように、著作権譲渡契約をすると、クライアントは著作物を自由に利用できるようになりますが、クリエイターはその著作物を今後自由に使用することができなくなります。
イラストやチラシのテンプレート、WEBデザインのテンプレートなどの著作物は、クリエイターにとって今後さらなる利益を産み出し得る財産ですから、これを譲渡する際には、多くの場合、著作権譲渡料を制作費に上乗せされることになります。

一方、クライアントは著作権を譲渡してもらうことによって、その著作物を独占的に使用できるようになるので、競合企業に使用されるのを防いだり、商品やサービスの付加価値として利用できるメリットがあるので、投資額が大きくなっても著作権譲渡契約が必要な場合があります。

また、デザインやイラストの取引において、将来的に公表の方法が不確定だったり、改変をする必要が発生する可能性がある場合などで、著作権の譲渡を受けたクライアントが著作者に逐次許可を得る手間を省くために、「著作権譲渡契約」に「著作者人格権の不行使」を記載する場合があります。
著作者人格権は譲渡できないため、例えば、企業キャラクターを制作した際、将来的に様々なパンフレットやWEBサイト、ノベルティグッズなどに使用する度に、クリエイターに公表や改変などについて逐次許諾を得る必要が生じて業務が煩雑になる上、クリエイターとしても常に対応する必要があるので効率が悪くなるおそれがあります。
この場合、著作者人格権を行使しない旨をクライアント/クリエイターの双方が確認しておくことで、このような手続きを省略でき、クライアントは著作物を最大限に活用することができます。

著作権譲渡契約は、以下のようなケースにおいて用いるとよいでしょう。

  • 企業・団体や商品などのロゴデザイン
  • 企業・団体や商品などのシンボルキャラクター
  • 商品パッケージに使用するイラスト
  • 販売するためのイラストやデザイン
  • 商品デザイン
  • 他社と差別化を図りたいチラシやWEBサイトなどの販促物

4.著作物の利用許諾

デザインやイラストの取引で、クリエイターが著作権を留保する場合には、著作物の利用について期間や方法などについて範囲を設定した上で、クライアントに
利用を許可します(著作物利用許諾契約)。この場合、クライアントおよびクリエイターは以下のように著作物が利用できます。

【クライアント】
できること

  • クリエイターに許諾を得た範囲内で印刷やWEBサイトでの利用や、販売、翻案などができる
    (例:許諾を得た部数のチラシを印刷して配布する、許諾を得た方法でキャラクターを商品化する)

できないこと

  • クリエイターに許諾を得た範囲以外での使用
    (例:チラシに利用することの許諾のみを得たイラストを自社ホームページに掲載する)
  • 著作物の使用権を第三者に譲渡する
    (別途許諾された場合はこの限りではありません。)
  • クリエイターの意思に反する公表や改変をすること
    (例:クリエイターがイラストの付近に必ずペンネームを明瞭に表示するよう求めたにも関わらず、無記名で製品パッケージに使用する)

【クリエイター】
できること

  • 第三者(他のクライアントなど)にその著作物を提案したり納品したりする
  • 著作物を印刷したり、自分のWEBサイトに掲載したり、展覧会に出品したりする
    (例:納品したイラストを自分のホームページに掲載する)

できないこと

  • クライアントが企業の場合で、競合する他社に同じ著作物を納品する

著作物利用許諾契約は、クライアントは目的に沿った形で著作物を利用できる上、クリエイターは著作権を留保して著作物を資産として将来に渡って活用できます。
通常、見積り金額には制作費と著作権使用料のみが含まれることになり、著作権を譲渡する場合に比べて安価での発注が可能です。

クライアントは納品された著作物をクリエイターが許諾した範囲内でしか使用できないので、契約時には想定される使用方法について全てクリエイターに伝え、許可を得ておくことが重要です。もちろん納品後でもクリエイターに別の利用の範囲について許諾を得ることはできますが、場合によっては別途料金が発生する可能性があります。

著作物利用許諾契約は、以下のようなケースにおいて用いるとよいでしょう。

  • オリジナリティを強く求めないチラシやWEBサイトなどの販促物
  • 他社で使用されていても差し支えないイラストカット
  • 個人で楽しむために依頼するイラストや漫画など

5.ケーススタディ ~こんなときどうする~

【納品された著作物を意匠登録や商標登録したい】
クライアントがデザインやイラストを意匠登録したり、ロゴデザインを商標登録する際には、クリエイターから登録を受ける権利を譲渡してもらう必要があります。
ファーストデザインでは、著作権譲渡契約をした際に、同時に意匠登録や商標登録をする権利についても移転されますので、意匠や商標を出願する予定がある場合には、著作権を譲渡してもらいましょう。

【チラシデザインの際にクリエイターが考えたキャッチコピーをWEBサイトにも使用したい】
デザインやイラストだけでなく、キャッチコピーや文章に創作性が認められる場合にも著作物としてみなされます。
著作権譲渡契約を結んだ場合で、著作者人格権の不行使にも合意ができている場合には、特にクリエイターに確認をとらなくても使用できますが、著作物利用許諾契約を結んでいる場合には、WEBサイトにキャッチコピーを使用する旨を利用範囲に含める必要があります。

【納品後に、著作物利用許諾契約の利用媒体や期間を変更したい】
著作物利用許諾契約で合意した範囲を変更するには、新たに変更内容を反映した著作物利用許諾契約を締結する必要があります。
プロジェクトルームでクリエイターに連絡し、合意を得てください。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!
記事に誤りなどがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。また、ご意見・ご感想などもお気軽にお寄せください。

※この記事では、内容を理解しやすくするために、事実や法律などの情報の一部を省いたり、表現を変えたり、通称を使用したりしています。また、その正確性について保証するものではありません。より正確な情報については、専門文献などの参照をおすすめいたします。
※契約に関する説明は、ファーストデザイン内でのお取り引きに適用される内容に基づいております。

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